【特集1】職場の熱中症対策 早期発見が重篤化を防ぐ 省令改正で連絡体制整備義務に 災害高止まり状況に対応強化
夏の暑さが年々厳しくなるなか、熱中症による労働災害が増加しており、職場での予防対策強化が必要になっている。厚生労働省は今年6月1日に労働安全衛生規則を改正し、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」を中心とする事業者の新たな義務を定めた。症状の重篤化の背景に初期症状の放置や対応の遅れがあるとし、作業場所ごとに早期発見のための体制と熱中症の疑いがあるときの対応の流れを整備し、作業者に周知するよう求めている。体調の異常の早期発見には、職場ごとの暑熱リスクの把握、こまめな体調確認などが重要になる。特集1では改正内容と通達の概要とともに、予防の対策が成果をあげた好事例として、東邦チタニウム茅ヶ崎工場の活動を紹介する。
死亡者は年間30人超 休業災害は過去最多に 厚労省 安衛則に新条文
厚生労働省が発表した令和6年の熱中症発生状況(速報値)によると、昨年の死亡者数は30人で3年連続で30人台となり、休業4日以上の災害は1195人で過去最多を記録するなど高止まりの状況が続いている。業種別では、建設業949人をはじめ、製造業、運送業での発症者が多く、なかには症状が重篤化して休業が2カ月以上に及ぶ事例もある。
過去5年間の死亡災害の分析を見ると、被災者が重篤化した状態で発見されたり、医療機関に搬送しないなど「初期症状の放置・対応の遅れ」とみられる状況がほぼすべての事案に共通している。一人作業で周囲の目が届かない場所での発症であったり、冷房の効いた休憩所や日陰で休ませている間や自宅に帰宅させた後に急激に体調が悪化して手遅れになるケースが目立つ。
こうした状況を受けて、厚生労働省は労働安全衛生規則を改正し、今年6月1日から事業者へ新たな熱中症予防の措置を義務付けた。改正の1つめのポイントは、…
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